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マウスピース矯正のメリットとデメリットを徹底解説
歯並びを改善したいと考えたとき、多くの方がマウスピース矯正に興味を持たれるのではないでしょうか。透明で目立たない、取り外し可能といった特徴から、近年人気が高まっているマウスピース矯正ですが、実際のところどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
私は日本矯正歯科学会指導医・認定医として25年以上にわたり大学病院で臨床・研究・教育に携わってきました。その経験を活かし、今回はマウスピース矯正の真実についてお伝えします。
マウスピース矯正とは?基本的な仕組みと特徴

マウスピース矯正は、透明な熱可塑性ポリマー製のマウスピースを使って歯を少しずつ動かしていく矯正方法です。従来のワイヤーやブラケットを使用せず、定期的にマウスピースを交換しながら理想の歯並びへと導いていきます。
歯が動く仕組みは、基本的にはワイヤー矯正と同じです。歯に継続的な圧力をかけることで、歯根膜という組織を介して歯を支える骨の吸収と再形成が起こり、少しずつ歯が移動していくのです。
マウスピース矯正の代表的なものとしては「インビザライン」があります。世界100カ国以上で900万人以上が治療を受けた実績があり、信頼性の高い矯正システムとして知られています。
では、このマウスピース矯正にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?矯正歯科専門医の視点から詳しく解説していきます。
マウスピース矯正の4つのメリット
マウスピース矯正には、従来のワイヤー矯正と比較して多くのメリットがあります。特に目立ちにくさや快適性の面で優れており、社会人の方や人前に出る機会が多い方に選ばれています。
1. 審美性に優れている(目立たない)
マウスピース矯正最大の魅力は、透明で薄いマウスピースを使用するため、装着していてもほとんど目立たないことです。人前に立つ機会が多い方や、見た目を気にする方にとって、この特徴は大きな利点となります。
私の患者さんからも「会議中や接客時も気にならない」「写真撮影のときも安心」といった声をよく聞きます。特に社会人の方にとっては、矯正治療中も自信を持って笑顔でいられることが何よりも重要なポイントです。
2. 痛みや違和感が少ない
ワイヤー矯正では、金属製の装置が口腔内を傷つけることがありますが、マウスピース矯正では薄い透明な装置を使用するため、口内の傷や違和感が少ないのが特徴です。
また、マウスピースは口腔内にフィットするようにデザインされているため、装着時の違和感も比較的軽減されます。もちろん個人差はありますが、多くの患者さんが「ワイヤーよりも痛みが少ない」と感じられています。
3. 取り外しができるため口腔ケアがしやすい
マウスピース矯正の大きな利点として、装置を自分で取り外せることが挙げられます。食事や歯磨きの際にマウスピースを外すことができるため、食べ物の制限がなく、また歯磨きも通常通り行えます。
これにより、矯正治療中でも口腔内を清潔に保ちやすく、虫歯や歯周病のリスクを低減できます。ワイヤー矯正では装置の周りに食べ物が詰まりやすく、丁寧な歯磨きが難しいという課題がありますが、マウスピース矯正ではそうした心配が少ないのです。
4. 通院頻度が少なくて済む
マウスピース矯正では、通常1〜2ヶ月に1回程度の通院で済むことが多いです。一方、ワイヤー矯正では2週間〜1ヶ月ごとの調整が必要です。
忙しい方や遠方にお住まいの方にとって、通院頻度の少なさは大きなメリットとなります。当院でも、お仕事の都合で平日の通院が難しい方に、マウスピース矯正をご提案することが多いです。
マウスピース矯正の4つのデメリット
メリットが多いマウスピース矯正ですが、もちろんデメリットも存在します。治療を検討する際には、これらのデメリットもしっかりと理解しておくことが大切です。
1. 自己管理が必要(装着時間の遵守)
マウスピース矯正の最大のデメリットは、装着時間を自分で管理する必要があることです。効果を得るためには、1日20時間以上の装着が推奨されており、食事や歯磨き以外の時間はほぼ常時装着する必要があります。
この装着時間を守れないと、予定通りに歯が動かず、治療期間が延びてしまう可能性があります。自己管理が苦手な方や、つい外してしまいがちな方には不向きかもしれません。
2. 装着中の飲食制限
マウスピース装着中は、基本的に水や無糖の炭酸水以外の飲食ができません。コーヒーや紅茶、ジュースなどの色素の強い飲み物を飲むと、マウスピースが変色する恐れがあります。
また、熱い飲み物を飲むと、マウスピースが変形してしまう可能性もあります。そのため、飲食のたびにマウスピースを外す必要があり、頻繁に飲食する習慣がある方には不便に感じられるかもしれません。
3. 対応できない症例がある
マウスピース矯正は万能ではなく、適応症例に限りがあります。重度の不正咬合(特に大きな受け口や出っ歯)、複雑な歯の移動が必要な場合などは、従来のワイヤー矯正の方が適していることがあります。
また、顎の骨格に問題がある場合や、複数のインプラントがある場合、永久歯が生え揃っていない小児の場合なども、マウスピース矯正が難しいケースがあります。
当院では初診時に詳しく検査を行い、マウスピース矯正が適しているかどうかを判断しています。場合によっては、ワイヤー矯正や他の治療法をご提案することもあります。
4. 歯科医師の知識・技術に左右される
マウスピース矯正の効果は、歯科医師の知識や技術に大きく左右されます。インビザラインなどのマウスピース矯正システムは、歯科医師がライセンスを取得して使用するものですが、その経験や専門性には差があります。
同じマウスピース矯正でも、治療計画や治療方針は歯科医師によって異なるため、必ずしも同じような効果が得られるわけではありません。そのため、矯正治療の経験が豊富な専門医を選ぶことが重要です。
マウスピース矯正の治療の流れ
マウスピース矯正の治療は、大きく分けて以下のような流れで進みます。当院での一般的な流れをご紹介します。
1. 初回相談・検査
まずは初回相談で、現在の歯並びの状態やご希望をお聞きします。口腔内の状態を確認し、むし歯や歯周病のチェックも行います。その後、3Dスキャナーを用いて口腔内をスキャンし、部分矯正が可能か全体矯正が必要かなど、現在の状況や治療期間・費用について詳しくご説明します。
当院では、iTeroという先進の口腔内スキャナーを導入しており、従来の歯型取りよりも正確で快適に検査を行うことができます。
2. 精密検査・治療計画
次に、より詳細な検査を行います。レントゲン撮影、お顔・お口の中の写真撮影、3Dスキャンなど、矯正治療に必要な検査を行い、治療計画を立てていきます。
検査結果をもとに、コンピューター上で歯の動きをシミュレーションし、最終的な歯並びの状態を予測します。患者さんと一緒に治療計画を確認し、ご納得いただいた上で治療を開始します。
3. マウスピース作製・治療開始
治療計画に基づいて、一人ひとりに合わせたマウスピースを作製します。通常、契約完了から約90日後に最初のマウスピースが届き、治療がスタートします。
マウスピースは1〜2週間ごとに交換し、少しずつ歯を移動させていきます。初めは月1回程度の通院が必要ですが、治療が軌道に乗れば2〜3ヶ月に1回の通院でも治療を進めることができます。
4. 動的治療終了・保定
予定通りに歯が動き、理想の歯並びが達成されたら、動的治療は終了です。しかし、矯正治療はここで終わりではありません。歯には元の位置に戻ろうとする性質(後戻り)があるため、保定装置(リテーナー)を装着して歯の位置を安定させる必要があります。
当院では、動的治療終了後も2年間のメンテナンス期間を設けており、定期的な通院で歯並びの安定を確認しています。
マウスピース矯正に関するよくある質問
最後に、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をご紹介します。
マウスピース矯正の費用はどれくらい?
マウスピース矯正の費用は、症例の難易度や治療範囲によって異なります。一般的に、全体矯正の場合は60万〜100万円程度、部分矯正の場合は10万〜40万円程度が相場です。
当院では、患者さんのご希望や口腔内の状態に合わせて、最適な治療プランと費用をご提案しています。また、分割払いにも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
マウスピース矯正の治療期間はどれくらい?
治療期間も症例によって異なりますが、一般的には1〜3年程度です。軽度の症例であれば数ヶ月で終了することもありますが、複雑な症例では3年以上かかることもあります。
装着時間を守ることで、予定通りの治療期間で終了することができますので、自己管理が重要です。
子どものマウスピース矯正は可能?
従来のマウスピース矯正は永久歯が生え揃った方を対象としていましたが、近年では「インビザラインファースト」など、成長期の子どもを対象としたマウスピース矯正も登場しています。
当院では、5〜6歳からの早期治療も行っており、成長期の顎の発達を利用した負担の少ない矯正治療を提供しています。お子さまの場合は、口腔機能の改善も含めた総合的なアプローチが重要です。
マウスピース矯正とワイヤー矯正、どちらが良い?
どちらが良いかは、患者さんの症例や生活スタイル、優先したいポイントによって異なります。マウスピース矯正は審美性や快適性に優れていますが、複雑な症例には向かないこともあります。一方、ワイヤー矯正は幅広い症例に対応できますが、見た目や違和感が気になる方もいらっしゃいます。
当院では、患者さん一人ひとりに合わせた最適な治療法をご提案しています。まずは無料相談にお越しいただき、ご自身に合った矯正方法を一緒に考えていきましょう。
まとめ:マウスピース矯正で叶える理想の笑顔
マウスピース矯正は、目立たない・痛みが少ない・取り外しができるといったメリットがある一方で、自己管理が必要・適応症例に限りがあるといったデメリットも存在します。
矯正治療は数ヶ月から数年にわたる長期的な取り組みです。そのため、治療法を選ぶ際には、メリット・デメリットをしっかりと理解した上で、ご自身のライフスタイルや優先したいポイントに合った方法を選ぶことが大切です。
私たちRYU矯正歯科クリニック郡山プレミアでは、25年以上の矯正治療経験を活かし、患者さん一人ひとりに最適な矯正治療をご提案しています。マウスピース矯正に興味をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
美しい歯並びは、自信を生み、表情を変え、心を前向きにします。そして、その変化は人生をより豊かにする大きな力となります。新しい笑顔への一歩を、私たちと一緒に踏み出してみませんか?
詳しい情報や無料相談のご予約は、RYU矯正歯科クリニック郡山プレミアの公式サイトをご覧ください。皆さまのご来院を心よりお待ちしております。
監修医師
竜 立雄(りゅう たつお)先生

RYU矯正歯科クリニック郡山プレミア 院長/歯学博士
日本矯正歯科学会 認定医・指導医
日本アンチエイジング歯科学会 認定医
日本3Dプリンティング矯正歯科学会 理事(認定医)
日本舌側矯正歯科学会 理事
東北矯正歯科学会 評議員
日本顎変形症学会、日本口蓋裂学会、日本成人矯正歯科学会、日本小児歯科学会、日本口腔筋機能療法(MFT)学会 など所属
経歴
奥羽大学歯学部 卒業
奥羽大学附属病院 矯正歯科にて25年間、診療・教育・研究に従事
論文・著書の執筆や学会発表、依頼講演多数
2022年6月 「RYU矯正歯科クリニック郡山プレミア」開院
院長メッセージ
「矯正治療は、単に歯並びを整えるだけでなく、噛み合わせや呼吸、発音、そして全身の健康にも大きな影響を与える大切な治療です。私はこれまで大学病院での臨床・研究を通じて、幅広い年齢層の患者さまと向き合ってまいりました。その経験を活かし、当院では最新のデジタル技術や精密機器を駆使しながら、一人ひとりに合った安心・安全な治療を提供しています。
お子さまの健やかな成長を支える矯正治療から、大人の方の目立ちにくい矯正治療まで、地域の皆さまに信頼いただける“かかりつけの矯正歯科”を目指してまいります。
