
コラムCOLUMN
スポーツ中の矯正治療は大丈夫?マウスピースと安全対策を解説
矯正治療中でもスポーツは楽しめる
矯正治療を始めたいけれど、スポーツを続けられるか不安に感じている方は多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、矯正治療中でもスポーツを楽しむことは十分に可能です。ただし、装置の種類やスポーツの特性によって注意すべきポイントがあります。
特に接触の激しいスポーツをされている方は、適切な対策を講じることで安全に治療とスポーツの両立が実現できます。
この記事では、矯正歯科専門医として25年以上の経験を持つ私が、スポーツ中の矯正治療における注意点と安全対策について詳しく解説します。
ワイヤー矯正とスポーツの注意点
ワイヤー矯正(表側矯正)は、歯の表面に金属やセラミックのブラケットを装着し、ワイヤーで歯を動かす治療法です。
この装置を装着したままスポーツをする場合、いくつかの注意点があります。
接触による口腔内の怪我のリスク
ワイヤー矯正装置は歯の表面に突起物がある状態です。
そのため、ボールや他の選手との接触によって顔面に衝撃を受けた場合、装置が口の中の粘膜や唇を傷つける可能性があります。特にバスケットボール、サッカー、ラグビーなどの接触スポーツでは注意が必要です。
実際に、装置が唇の内側に食い込んで出血したり、粘膜が切れてしまったりするケースがあります。
装置の破損リスク
強い衝撃を受けると、ブラケットが外れたり、ワイヤーが曲がったりすることがあります。装置が破損すると治療期間が延びる可能性があるため、できるだけ避けたいところです。
また、破損した装置の鋭利な部分が口腔内を傷つけることもあります。
裏側矯正(舌側矯正)の場合
裏側矯正は歯の裏側に装置を装着するため、外からは見えず審美性に優れています。
しかし、スポーツの観点からは表側矯正と同様のリスクがあります。むしろ舌側に装置があるため、舌を傷つけるリスクが高まる可能性もあります。
マウスピース矯正とスポーツの相性
マウスピース矯正(インビザラインなど)は、透明なマウスピース型の装置を使用する治療法です。
スポーツをされる方にとって、マウスピース矯正はいくつかのメリットがあります。
取り外しが可能
マウスピース矯正の最大の利点は、必要に応じて取り外しができることです。
激しい接触が予想される試合や練習の際には、装置を外してスポーツマウスガードを装着することができます。これにより、口腔内の怪我のリスクを大幅に減らすことが可能です。
ただし、マウスピースは1日20〜22時間の装着が推奨されているため、外す時間は最小限に抑える必要があります。
装置の破損リスクが低い
ワイヤー矯正と比較して、マウスピース矯正は装置自体が柔軟性のある素材でできています。
そのため、衝撃を受けても破損しにくく、仮に破損しても次のマウスピースに交換すれば治療を継続できます。
口腔内の怪我のリスクが少ない
マウスピースは滑らかな表面で、突起物がありません。
そのため、衝撃を受けても口の中の粘膜や唇を傷つけるリスクが低いという特徴があります。ただし、完全にリスクがないわけではないため、接触の激しいスポーツでは追加の保護が必要です。
スポーツマウスガードの重要性と種類
矯正治療中にスポーツをする場合、スポーツマウスガードの使用が非常に重要です。
マウスガードは、歯や顎、口腔内の軟組織を外部からの衝撃から守る役割を果たします。
マウスガードの効果
スポーツマウスガードには以下のような効果があります。
- 歯の破折や脱落の防止・・・衝撃を吸収し、歯へのダメージを軽減します
- 口腔内の軟組織の保護・・・唇、頬、舌などの怪我を防ぎます
- 顎関節への衝撃緩和・・・顎関節症や顎の骨折を予防します
- 矯正装置の保護・・・装置の破損リスクを減らします
- 対戦相手の怪我の防止・・・接触時に相手を傷つけるリスクを低減します
特にワイヤー矯正をしている場合、マウスガードは装置と口腔内の間にクッションの役割を果たし、装置が粘膜に食い込むのを防ぎます。
市販のマウスガードの特徴
市販のマウスガードは、スポーツ用品店やインターネット通販で購入できます。
お湯で軟らかくして自分の歯に合わせて形を整えるタイプが一般的です。費用は比較的安価で、短時間で製作できるというメリットがあります。
矯正治療中の場合、歯並びが変わるため定期的に調整が必要ですが、市販品なら自分で調整できます。
ただし、耐久性が低く、歯と装置の適合が悪いため、十分な保護効果が得られない可能性があります。
カスタムメイドのマウスガードの特徴
歯科医院で作製するカスタムメイドのマウスガードは、患者さん一人ひとりの歯型に合わせて製作されます。
市販品と比較すると費用は高くなりますが、装置にしっかりとフィットし、耐久性も高く、外部からの衝撃から歯や口腔内を効果的に守ることができます。
スポーツの種類に応じて、厚みや形状を調整することも可能です。たとえば、正面からの衝撃が多い格闘技では唇側に厚みを持たせ、声を出す必要があるスポーツでは口蓋部分を薄くするなどの工夫ができます。
デメリットとしては、歯並びが変わったり歯の治療を行うと適合が悪くなり、再製作が必要になることがあります。
接触の激しいスポーツでの対策
ラグビー、アメリカンフットボール、ボクシング、キックボクシングなど、接触の激しいスポーツでは特別な注意が必要です。
これらのスポーツでは、マウスガードの装着が義務化されている場合も多くあります。
義務化されているスポーツ
アメリカンフットボール、キックボクシング、ボクシング、ラグビーなどでは、マウスガードの装着が義務化されています。
スポーツによっては、マウスガードの色や形状に規定がある場合もあるため、事前に各スポーツの協会に確認することが重要です。
たとえば、透明や白、赤色が使用できないスポーツもあります。
矯正治療中の選択肢
接触の激しいスポーツをしている方が矯正治療を始める場合、以下の選択肢があります。
- マウスピース矯正を選択する・・・試合や練習時に取り外してスポーツマウスガードを装着できます
- カスタムメイドのマウスガードを製作する・・・ワイヤー矯正でも装置に合わせたマウスガードで保護できます
- シーズンオフに治療を開始する・・・装置に慣れる期間を確保できます
当院では、スポーツをされている患者さんに対して、ライフスタイルに合わせた治療計画を提案しています。
定期的なチェックの重要性
スポーツをしながら矯正治療を行う場合、定期的に歯科医院でチェックを受けることが重要です。
装置の緩みや破損がないか、口腔内に怪我がないかを確認し、必要に応じてマウスガードの調整や再製作を行います。
特に成長期のお子さんの場合、顎の成長に伴って歯並びが変わるため、マウスガードの適合が悪くなることがあります。

小児矯正とスポーツの両立
成長期のお子さんがスポーツをしながら矯正治療を受ける場合、いくつかの配慮が必要です。
小児矯正では、顎の成長を利用した負担の少ない治療が可能ですが、スポーツとの両立には工夫が求められます。
成長期矯正の特徴
小児矯正では、顎の成長を活かした治療を行います。
取り外し可能な装置を使用することが多く、スポーツの際には外すことができます。また、MFT(口腔筋機能療法)による口腔機能改善や鼻呼吸への改善サポートも行います。
これらの治療は、歯並びだけでなく全身の発育にも良い影響を与えるとされています。
保護者の方へのアドバイス
お子さんがスポーツをしながら矯正治療を受ける場合、保護者の方には以下の点に注意していただきたいと思います。
- 装置の装着時間を守る・・・取り外し可能な装置でも、指定された時間は装着する必要があります
- マウスガードの使用を徹底する・・・接触の可能性があるスポーツでは必ず使用させてください
- 定期的な検診を欠かさない・・・装置の状態や口腔内の健康をチェックします
- お子さんの訴えに耳を傾ける・・・痛みや違和感があれば早めに相談してください
当院では、小児矯正を受けるお子さんとその保護者の方に対して、丁寧なカウンセリングを行い、スポーツとの両立をサポートしています。
矯正治療中のスポーツで気をつけること
矯正治療中にスポーツを楽しむためには、日常的な注意も必要です。
以下のポイントを押さえることで、安全にスポーツを続けることができます。
装置の状態を常にチェック
スポーツの前後には、装置に緩みや破損がないか確認してください。
ワイヤーが飛び出していたり、ブラケットが外れかけていたりする場合は、すぐに歯科医院に連絡しましょう。放置すると口腔内を傷つける原因になります。
口腔内の衛生管理
スポーツ後は汗をかいて口の中が乾燥しやすくなります。
矯正装置があると食べ物が詰まりやすく、むし歯のリスクが高まるため、スポーツ後はしっかりと歯磨きをすることが大切です。マウスピース矯正の場合は、装置を外して洗浄してから再装着してください。
水分補給の工夫
スポーツドリンクには糖分が多く含まれているため、頻繁に飲むとむし歯のリスクが高まります。
矯正治療中は特に注意が必要です。できるだけ水を飲むようにし、スポーツドリンクを飲んだ後は口をゆすぐようにしましょう。
痛みや違和感があれば早めに相談
スポーツ中に装置が当たって痛みを感じたり、口腔内に傷ができたりした場合は、早めに歯科医院に相談してください。
我慢して続けると、傷が悪化したり、装置の破損につながったりする可能性があります。
RYU矯正歯科クリニック郡山プレミアでの取り組み
当院では、スポーツをされている患者さんに対して、安全に治療を受けていただけるよう様々な取り組みを行っています。
ライフスタイルに合わせた治療計画
患者さん一人ひとりのライフスタイルや希望に合わせて、最適な矯正方法を提案しています。
スポーツの種類や頻度、競技レベルなどを考慮し、マウスピース矯正、裏側矯正、ワイヤー矯正など、複数の選択肢の中から最適な治療法を選択していただけます。
スポーツマウスガードの製作
当院では、スポーツマウスガードの製作にも対応しています。
患者さんの噛み合わせに合わせたオーダーメイドで製作し、スポーツの特性に応じた厚みや形状に調整します。費用は簡易タイプで5,000〜8,000円程度、精密タイプで10,000〜20,000円程度です。
マウスガードは消耗品のため再製作が必要になりますが、その際は1〜2割程度の割引を行っています。
精密な診断と治療
当院では、口腔内スキャナー(iTero)、CT・セファロレントゲンなどの設備を導入しています。
これにより、歯並びだけでなく骨格や神経の状態まで把握し、より安全で精度の高い治療が可能です。スポーツをされている方にとっても、正確な診断に基づいた治療計画は安心につながります。
経験豊富な専門医による治療
院長は日本矯正歯科学会指導医・認定医として、25年以上の臨床経験を持っています。
大学病院での研究や教育の経験も豊富で、論文や著書、依頼講演や学会発表も多数あります。スポーツをされている患者さんの治療経験も豊富で、安全に治療を進めるためのノウハウを持っています。
まとめ
矯正治療中でもスポーツを楽しむことは十分に可能です。
ワイヤー矯正の場合は口腔内の怪我や装置の破損に注意が必要ですが、カスタムメイドのマウスガードを使用することで安全性を高めることができます。マウスピース矯正は取り外しが可能なため、スポーツをされる方に適した選択肢です。
接触の激しいスポーツをされている方は、スポーツマウスガードの使用が必須です。市販品とカスタムメイド品がありますが、十分な保護効果を得るためにはカスタムメイド品をおすすめします。
小児矯正の場合も、成長期の特性を活かした治療とスポーツの両立が可能です。保護者の方のサポートが重要になります。
矯正治療中のスポーツでは、装置の状態チェック、口腔内の衛生管理、水分補給の工夫、痛みや違和感への早めの対応が大切です。
当院では、スポーツをされている患者さんのライフスタイルに合わせた治療計画を提案し、スポーツマウスガードの製作にも対応しています。精密な診断設備と経験豊富な専門医による治療で、安全に矯正治療とスポーツの両立をサポートします。
矯正治療とスポーツの両立についてお悩みの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。丁寧なカウンセリングで、あなたに最適な治療計画をご提案いたします。
監修医師
竜 立雄(りゅう たつお)先生

RYU矯正歯科クリニック郡山プレミア 院長/歯学博士
日本矯正歯科学会 認定医・指導医
日本アンチエイジング歯科学会 認定医
日本3Dプリンティング矯正歯科学会 理事(認定医)
日本舌側矯正歯科学会 理事
東北矯正歯科学会 評議員
日本顎変形症学会、日本口蓋裂学会、日本成人矯正歯科学会、日本小児歯科学会、日本口腔筋機能療法(MFT)学会 など所属
経歴
奥羽大学歯学部 卒業
奥羽大学附属病院 矯正歯科にて25年間、診療・教育・研究に従事
論文・著書の執筆や学会発表、依頼講演多数
2022年6月 「RYU矯正歯科クリニック郡山プレミア」開院
院長メッセージ
「矯正治療は、単に歯並びを整えるだけでなく、噛み合わせや呼吸、発音、そして全身の健康にも大きな影響を与える大切な治療です。私はこれまで大学病院での臨床・研究を通じて、幅広い年齢層の患者さまと向き合ってまいりました。その経験を活かし、当院では最新のデジタル技術や精密機器を駆使しながら、一人ひとりに合った安心・安全な治療を提供しています。
お子さまの健やかな成長を支える矯正治療から、大人の方の目立ちにくい矯正治療まで、地域の皆さまに信頼いただける“かかりつけの矯正歯科”を目指してまいります。
